バーの音 第四話
当店はジュークボックスを店に設置しております。
収納曲は昭和歌謡、同年代のアメリカンポップス、ジャズの名曲etc。
元々、カモメセラーの店作りは店内のBGMを含めてドリンク、フード、内装、照明などでこれまでのいわゆるオーセンティックバーという概念にとらわれず考えていこうと思っていました。
コンセプトは一軒目で使えるバーと楽しい酒場です。
ジュークボックス設置もそのコンセプトに沿ったものと言い張っておりますが、一番楽しんでいるのは店主でしょ⁉と言われております。
そうは申しましても、当然のことですが、安い買い物ではありません。
スペースやメンテナンスの問題もあります。
そもそもBGMだけで考えれば、そんなリスクを負わずしても今では流したい音楽があれば様々な方法で手軽にあらゆるジャンルの曲を流す事が出来ます。
この世界に入ってから休みの日はもっぱらバー巡りという生活を送っており、
ジュークボックスのあるバーへ行くと「いつかは自分の店にも置きたいな」という想いはありました。
そんなある時、習慣的に観ている「じゅん散歩」の本牧編をきっかけにその想いは大きく現実に向かって行きました。
私の記憶が正しければ「じゅん散歩 本牧編」のゲストはクレイジーケンバンドの横山剣さんだったと思います。
それはどうでも良いのですがその番組でフラット4というフォルクスワーゲンの代理店がジュークボックスの販売も行っており、オールドヴィンテージから現行製品までの現物を展示していると紹介されました。
思い立ったが吉日とばかりに早速本牧フラット4へ。そこにはなんと、台数で言えば10数台ほどでしょうか?心躍るジュークボックスが並んでいるではないでしょうか!
見てしまったら後には引けません。
サイズを測ったり、鳴らしてみたり、店員さんにあれやこれやの質問攻め。
ものがモノだけにさすがに衝動買いとはいきません。気持ちを抑えて「後日改めて連絡させて頂きます」と名刺交換をして本牧を後にしました。
それから恐らく3ヶ月ぐらいでしょうか?電卓をたたいては悩み、置き場所のサイズを測っては悩み、ただ気持ちでは設置を確定しておりました。
今ではすっかりジュークボックスも店に馴染んでいるようです。
美味い酒と美味いつまみ、そして良い音楽。いじり甲斐のある店主とスタッフ。これからも楽しい酒場を目指して精進して参ります。

第五話に続く